無意識の6種類のアーキタイプ

   夢占いの歴史 において、ユングが提唱する無意識には、個人に特有の深層心理を表わす『個人的な無意識』と、民族あるいは人類に共通した『集合的無意識』 があることを述べました。

このページでは、ユングが提唱するアーキタイプ（Archetype：元型あるいは原型）と呼ばれる『集合的無意識』の基本的な要素について説明しましょう。 アーキタイプとは、無意識において心に作用する要素を意味し、アーキタイプが作用した結果として、夢の中で様々な映像となって現れることになります。 なお、十分に発達していないアーキタイプは、夢の中ではぼんやりとした黒っぽい映像となって現れることが多いようです。

   母性を象徴する要素を意味します。 しかし、子どもを慈しんで育む肯定的な母性という意味だけに留まらず、子供を束縛し、飲み込んで破滅させてしまう否定的な母性も意味します。 グレート・マザーは男性に取って、マザー・コンプレックス、母の束縛から逃れること、あるいは精神的・経済的自立を意味することもあります グレート・マザーが心に作用すると、海、大地、女神、老婆、魔女などの映像となって現れます。 一方、否定的な場合には、海や大地に飲み込まれる、鬼、化け猫、猛獣等の映像となって現れることもあります。

   悟りを開き、理性的で、あらゆる知識を持ち、永遠の生命を持った仙人のような存在を象徴する要素を意味します。 グレート・マザーと同様に、オールド・ワイズ・マンは女性に取って、ファザー・コンプレックス、父親に対する強い執着からの脱却を意味することもあります。 オールド・ワイズ・マンが心に作用すると、学者や仙人など権威ある男性の映像だけではなく、永遠の少年の映像になることもあるようです。 一方、否定的な場合には、悪の大王や雷の映像になることもあります。

   アニマは男性が無意識の中に持っている女性的要素のことで、女性的情動や感情などを象徴しています。 男性は『男らしくあるべき』という社会的要請により、女性的要素が抑圧され、これが無意識の中にアニマとなって残ります。 まれにアニマを現実の女性に投影して、恋に身を滅ぼすしてしまうこともあります。 アニマが心に作用すると、理想の女性、花や果物、あるいは女性的な印象の動物となって現れます。

   アニムスは女性が無意識の中に持っている男性的要素のことで、男性的な知性や理念、決断力、論理性などを象徴しています。 女性は『女らしくあるべき』という社会的要請により、男性的要素が抑圧され、これが無意識の中にアニムスとなって残ります。 まれにアニムスを現実の男性に投影して、禁じられた恋に走り身を滅ぼすしてしまうこともあります。 アニムスが心に作用すると、理想の男性像となって現れますが、銃やペンなど、男性のシンボルとなって現れることもあります。

   裏に隠されたもう一人の自分の要素のことです。 肯定的な場合は、普段表面にでない自分の長所であり、否定的な場合は受け入れたくないコンプレックスであったりします。 シャドウが心に作用すると、自分自身、同性の兄弟や友人、あるいは嫌いな人物として現れます。

   表向きの自分を意味し、社会的役割や両親の期待に応えるために、自らが作り上げた仮面をかぶった人格要素のことです。 社会的環境や対人関係に適合するため、社会的にしっかりと役割を果たしたり、協調的な態度を取る人格を作り上げます。 ペルソナは社会生活を送る上で必要な要素ですが、あまりペルソナが強過ぎると、本来の自分を見失い強い心理的ストレスとなります。 ペルソナが心に作用すると、洋服やアクセサリーなど身に付けるものとなって現れます。