エゴグラムとは、アメリカの精神科医であるエリック・バーンにより開発された交流分析（Transactional Analysis：TA）と呼ばれる心理療法をベースに、 アメリカの心理学者J.M.デュセイが開発した性格分析手法の一つです。 エゴ（Ego：自我）＋グラム（Gram：図）からわかるように、人の心理状態を CP(Critical Parent：批判的な親)、NP(Nurturing Parent：養育的な親)、A(Adult：大人)、 FC(Free Child：自由奔放な子供)、AC(Adapted Child：順応した子供) の5種類の自我状態（心の状態）の勢力図を図式化して心の構造を診断する手法です。

人の心は一種類の人格に支配されている訳ではなく、頑固オヤジのように批判的な心や生活弱者に接して助けてあげたいという心を持っています。 また、時には大人っぽい心で冷静さを装っていても、自分の興味を持っている物事に対しては子供っぽい心が現れることもあるでしょう。 人の自我状態（心の状態）の強弱のパターンは様々であり、このパターンにより、その人の性格を分類するのがエゴグラムによる性格診断です。

あなたは、長く付き合ってきた自分の性格をよく知っていると思っているかもしれませんが、知っているようで意外に知らないのが自分自身なのです。 自分の性格を客観的に分析できるエゴグラムにより、自分でも気がついていない自分自身を発見してみましょう。

   ここでは、エゴグラムの基本となっている5種類の自我状態について解説します。 人の性格や行動パターンは、この5種類の自我状態の強弱のパターンにより左右されることになります。

5種類の自我状態は、ユングが提唱する 無意識の6種類のアーキタイプ にも類似していますが、その内容は少し異なります。 本サイトでは、各自我状態を表す場合には見やすくするため で囲って、CPあるいはNPのように表現します。

   エゴグラムのCP(Critical Parent)とは批判的な親、即ち昔ながらの頑固オヤジの自我状態です。 人の責任を追及し、人の義務や組織の管理を重んじるタイプの自我状態です。 例えば、無造作に捨てられたゴミを見て『町を汚してけしからん！ゴミのポイ捨ては禁止だ！どんな教育を受けてるんだ！』と思うのがCPです。

   エゴグラムのNP(Nurturing Parent)とは養育的な親、即ち世話好きな母親の自我状態です。 母性豊かで、やさしく人を思いやり、共感性が豊かなタイプの自我状態です。 例えば、無造作に捨てられたゴミを見て『ゴミを捨てた人はかわいそう。きっと荒れた環境で育ったため、十分な道徳心が育ってないのだわ。』と思うのがNPです。

   エゴグラムのA(Adult)とは大人、即ち成人としての冷静で客観的な分析や思考の自我状態です。 常に冷静ですので、感情を表に出すことがないタイプの自我状態です。 例えば、無造作に捨てられたゴミを見て『なぜゴミのポイ捨てをするのか？ゴミのポイ捨てをなくすにはどんな対策を取ればいいのか？』と分析的に考えるのがAです。

   エゴグラムのFC(Free Child)とは自由奔放な子供、即ち『ヘエ！すごいな！』『ワア！カッコいいなあ！』と反応する無邪気な子供の自我状態です。 あまり複雑に考えず、素直に感情表現するタイプの自我状態です。 例えば、無造作に捨てられたゴミを見て『ワア！ゴミがいっぱい落ちてる！』と無邪気に思うのがFCです。

   エゴグラムのAC(Adapted Child)とは順応した子供、即ち親や先生の前でいい子を装う自我状態です。 気が弱く、周囲の意見に従順で、問題が起こると直ぐ自分を責めてしまうタイプの自我状態です。 例えば、無造作に捨てられたゴミを見て『ゴミのポイ捨てはいけないことだよ！僕はゴミのポイ捨てはしないよ。』と思うのがACです。

   エゴグラムでは、簡単な質問により、以上の5種類の自我状態のバランスを見ます。 一般的に、5種類の自我状態がアンバランスな凸凹のパターンの人よりも、凸凹の少ないなだらかなパターンの人の方がバランスが取れていて、温厚なタイプと言えます。

エゴグラムは、5種類の自我状態のどれが良くて、どれが悪いという事を判断するものではありませんので注意して下さい。 例えば、CPの批判的な親は、頑固で融通がきかないという短所になりますが、組織の秩序を守るという長所にもなります。 また、NPの養育的な親は、母性豊かで思いやりがあるという長所になりますが、お人好しやおせっかいという短所にもなります。

なお本サイトでは、よりエゴグラム・パターンを顕著に表現するため、エゴグラムの診断結果による5種類の自我状態は、男女別に0点から100点で正規化された点数で表示されます。